『部下としてのAI 世界一流エンジニアの進化術』を読んだ
CATEGORY:読書
僕は曲がりなりにもウェブエンジニアであるため、普段仕事では AI をフル活用しています。
ただ正直、AI について学ぶことであったり、AI を使って仕事をすることへのモチベーションが全然上がらない日々を送っています。
その原因としては、僕はウェブエンジニアとしての仕事の中で、コードを書く時間こそが大好きだったからです。課題があって、それを技術的にどう解決するかを考えながら手を動かして、あーでもないこーでもないと試行錯誤しつつ動くものができあがっていく工程に喜びを見出して仕事をしていました。それはまるでパズルゲームをしている感覚で、思いついた実装が見事にハマって課題を解決したときの脳汁が出る感じが好きでした。
そもそも仕事という行いなぞ本当にしたくない中で、唯一楽しく続けられるのがコードを書くことだったわけで、その営みが AI で代替された今、世間では判断と責任が人間に残るなどと言われておりますが、個人的に楽しかった部分がなくなって楽しくない部分だけ残る今後の仕事に僕は耐えられるのか?と、そんな風に考えている昨今です。アイデンティティ・クライシスです。
ということで、そんな自分を変えてこれからの時代も前向きにウェブエンジニアとして生きるための助けになってくれればと、巷で話題になっていたこちらの本を読んでみました。
部下としてのAI 世界一流エンジニアの進化術
内容
Microsoft のエンジニアである著者も、僕と同じように最初はエンジニアとしてモチベーションを保てるか、これから先仕事を楽しいと思えるか不安になったようです。
そこから、一旦 AI による変化は非可逆的なものであると受け止めて、だったらまずはコーディングエージェントをめちゃくちゃ上手に使えるようになろうと決めて、徹底的にコーディングエージェントを調べて試して改善してを繰り返しつつも、Microsoft の優秀な同僚の仕事ぶりを参考にしながら、AI を使いこなして生産性を爆上げするに至るまでの道のりを解説しているのが、この本です。
コーディングエージェントを使って仕事をブーストさせるための具体的な方法を詳しく解説しつつも、仕事への向き合い方・考え方にも深く言及しており、ハウツー本としてだけでなくエモーショナルな部分で刺激を受ける内容でした。
著者はエンジニアなので基本的にはエンジニア向けの内容ですが、そうでない職種でも同じように適用できる話がほとんどだったので、誰が読んでも何かしら得られるものはありそうでした。AI を活用した英語学習の方法などにも言及していたり。
感想
良かった。とても良かった。
少なくとも僕は今後の仕事に前向きになれそうと今は思っているくらいには良い影響を受けることができました。
個人的に印象に残ったのは、まずは理解を何よりも大事にする、という話をしていたところ。
ミーティングで話している内容や、チームメンバーが出している Pull Request や使っているライブラリのメンテナのような優秀な人の Pull Request など、それらに対して AI を使ってまず理解の深さにブーストをかけること。一旦速度を犠牲にしてでもまず優先すべきは理解を深めることで、その後に速度を上げることについて考えれば良いという話があった。
僕は日々の AI 情報のキャッチアップや、流量が増え続ける同僚のアウトプットのレビューなどに対して、ボトルネックにならないように理解半分でさらっと受け流さざるを得ないこともたまにはあって、なかなかに疲弊してしまっているんだけれど、そこで AI を使って楽にさばこうとするのではなく理解の深さにブーストをかけることを大事にしていた。それが結果的にその後の速度を上げることに繋がるということで。
優秀なエンジニアはわからないときははっきりとわからないと言ってその場で聞いたり、完全に理解できるまで深く調べたり、そういうことができる人のことであるということで、僕もそこは学びたいなと思った。
結局最終的にはアウトカムを素早く出すことが目的なので、速度を捨てて良いということではないんだけど、一番大事にすべきは理解であるというのは良い話だなと。
コーディングエージェントの使い方に関する話は、エンジニアとして働いていればすでに知っているような基本的な内容がほとんどだったけれど、基本的なことを徹底して効率化に繋げているのがこの筆者のすごいところなのかなと。
例えば、2度同じ作業をしたら必ず skill やスラッシュコマンドなどで自動化して次からは絶対に手動でやらないようにする、のような当然ではあることだけれどそういうことの徹底的な積み重ねで生産性爆上げに繋がっているようだった。
著者は、どうやったら一番楽に価値を最大化できるかを常に考えているようで、全ての行動の根底にその考え方があることがよくわかった。
ここまで書いたことは、僕が印象に残ったことの一例でしかなく、この書籍には他にもたくさんパンチラインが散りばめられていて、今日からできる行動変容に繋がる内容が盛りだくさんでした。
さわりだけ書くと、AI があろうがなかろうがアウトプットの質は変わらず重要であること、コンピュータサイエンスの基礎知識は古びないこと、新時代における仕事力は本体の強さ x AI 力であること、変化に対応する力が重要であること、etc...。
ということで、明日の仕事への向き合い方にちょっと希望を持たせてくれた一冊でした。僕もいままでとは違うところに喜びを見出せそうな気配がしてます。
色々試してまたしばらくしたらどう変わったかを定点観測してみようと思います。
おわり。